大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

新潟地方裁判所糸魚川支部 昭和50年(ワ)4号 判決 1975年10月07日

主文

被告は原告に対し別紙目録記載の土地につき新潟地方法務局糸魚川支局昭和四八年八月二七日受付第七四四八号をもつてなされている同月二一日付売買(条件農地法第五条の許可)を原因とする条件付所有権移転仮登記の抹消登記手続をせよ。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、主文同旨の判決を求め、その請求の原因として、

「一 原告は、昭和四八年八月二七日、被告に対し、原告所有の別紙目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を被告の住宅建設の目的で速かに農地法第五条の許可を受けることを条件として売渡し、同日右売買(但し、登記簿上は昭和四八年八月二一日付)を原因とする条件付所有権移転の仮登記をなした。

二 ところが、被告は、右契約締結の時から一年余を経過しても、農地法第五条の許可申請手続をしないので、原告は被告に対し、昭和五〇年二月二七日付内容証明郵便をもつて、同書面到達の日から二カ月以内に農地法第五条による許可申請手続をなすことを催告するとともに、被告が右期間内に右申請手続をしなかつたときは、前記条件付売買契約は当然解除となる旨の意思表示をし、右書面は、その頃被告に到達した。被告は、現在に至るも農地法第五条の申請手続をしないので、前記条件付売買契約は、昭和五〇年四月二七日頃の経過とともに解除された。

三、仮に、右解除の事実が認められないとしても、被告は、本件土地を宅地に転用する目的を有しないまま前記条件付売買契約を締結したものであり、また、現在に至るも農地法第五条の許可がないから、右条件付売買契約は不成立である。

四、仮に、右三の主張が認められないとしても、被告もしくはその父加藤久松は、前記のとおり、農地法第五条の許可申請もしないばかりか、何等農業経営の適格がないのに、原告から本件土地につき耕作することを承認されたとして、同所で農耕に従事しているが、これについて農地法第三条の許可も得ていない。したがつて、前記条件付売買契約は、被告が住宅建設に名を借り、農耕用に本件土地を取得したものであり、農地法第五条、第三条に違反する脱法行為を目的として締結されたものというべきであるから、無効である。

五、よつて、原告は、本件土地所有権に基づき、被告に対し、本件土地につきなされている前記条件付所有権移転の仮登記の抹消登記手続を求める。」

と述べた。証拠(省略)

(別紙)

目録

糸魚川市大字押上字カマ田三〇七番

田    五一九平方メートル

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例